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理学療法士として36年。私が健康経営に取り組む理由

健康経営

2026.08.09

健康経営シリーズ 第1回(全8回)
理学療法士として36年間、働く人の身体と向き合ってきた経験から、企業の健康経営について考える全8回の連載です。

「理学療法士が、なぜ健康経営に取り組むのですか?」

そう聞かれることがあります。

私はこれまで36年間、病院やクリニックで理学療法士として働いてきました。

腰が痛い。
肩が上がらない。
膝が痛くて歩きにくい。
仕事を続けたいけれど、身体がついてこない。

そうした痛みや身体の不具合を抱えた方々と、長い間向き合ってきました。

少しでも痛みを軽くすること。動きやすい身体を取り戻してもらうこと。そして、その方が自分らしい生活や仕事に戻れるように支えること。

それが、理学療法士としての私の仕事でした。

「もっと早く関わることができていたら」

経験を重ねる中で、私の中に一つの思いが生まれました。

「この方が痛くなる前に、何かできなかっただろうか」

病院やクリニックでお会いするのは、すでに痛みや不調が表れてからの方がほとんどです。

しかし、患者さんのお話を詳しく聞いてみると、その痛みは本当にある日突然、何の前触れもなく起きたとは限りません。

毎日、同じ姿勢で仕事をしていた。
無理な身体の使い方を繰り返していた。
疲れていても、休むことができなかった。
身体に合わない環境で仕事を続けていた。

一つひとつは、我慢できる程度の負担だったのかもしれません。

「これくらいなら大丈夫」
「仕事だから仕方がない」
「みんなもやっているから」

そう思いながら仕事を続けるうちに、小さな負担が少しずつ積み重なり、やがて痛みや不具合となって表れる。

そんな方を、私は数多く診てきました。

病院の中だけでは、見えないものがある

身体の状態を診ることで、分かることはたくさんあります。

一方で、病院やクリニックの中にいるだけでは分からないこともありました。

その方が、どのような場所で働いているのか。
どのような姿勢で、一日に何回その作業をしているのか。
どれくらいの重さの物を扱っているのか。
疲れたときに、身体を休めることができるのか。

痛みが表れている場所だけを見ていても、その背景にある本当の負担までは見えないことがあります。

身体を診ることと、働く環境を見ること。

その両方が必要なのではないか。私は次第に、そう考えるようになりました。

痛みが出るまで、待つのではなく

病院やクリニックでは、痛みや不調が出た方を待つことになります。

けれど、職場に目を向ければ、その前の段階でできることがあります。

まだ強い痛みはないけれど、夕方になると腰が重い。
休みの日には楽になるけれど、仕事をするとまた痛む。
以前は平気だった作業が、最近はつらくなってきた。

そうした小さな変化に気づき、身体の使い方や職場環境を見直すことができれば、大きな不調を防げるかもしれません。

働く人の健康を守ることは、単に病気にならないようにすることだけではないと思います。

無理を重ねなくても働けること。
不調を抱えたときに、一人で我慢しなくてよいこと。
年齢を重ねても、自分の力を発揮し続けられること。

そのために、会社として何ができるのかを考え、実際の職場で一つずつ形にしていく。

それが、私の考える健康経営です。

36年間の経験を、予防のために

私はこれまで、痛みや不調が起きた後の方々と向き合ってきました。

だからこそ、これからは、その経験を「痛みが起きる前」にも生かしたいと思っています。

働く人の身体を見る。
仕事をしている環境を見る。
そして、本人と会社の両方の話を聞く。

誰か一人に我慢を求めるのではなく、無理なく働き続けられる方法を一緒に探していく。

それが、理学療法士として36年間働いてきた私が、健康経営に取り組む理由です。

この連載では、日々の小さな負担が身体に与える影響や、職場環境の見直し方、不調を抱えた方の職場復帰、年齢を重ねても働き続けられる職場づくりなどについて、私が現場で感じてきたことを交えながらお伝えしていきます。

健康経営を、特別な会社だけが行う大がかりな取り組みではなく、目の前で働く人を大切にするところから始めるものとして、一緒に考えていただければと思います。

次回は、「ある日突然の腰痛は、本当に突然なのでしょうか」をテーマに、毎日の小さな負担が身体に積み重なっていく仕組みについてお話しします。

この記事を書いた人

理学療法士として36年間、大学病院、整形外科病院、整形外科クリニックに勤務。骨・筋肉・関節などの運動器疾患を専門とし、腰痛、肩や膝の痛み、けがや手術後のリハビリテーション、職場復帰などに携わってきました。

クリニックでは、身体の痛みに加えて、不安や気分の落ち込み、職場の人間関係などの悩みを抱える方にも数多く対応。身体だけでなく、仕事の環境や心の状態も含めて考えることの大切さを実感してきました。

現在は北海道・札幌市を中心に、これまでの臨床経験を生かし、働く人の身体づくりと企業の健康経営を支援しています。

働く人の身体と職場環境について相談してみませんか

従業員の腰痛や身体の不調が気になっているものの、何から確認すればよいか分からない。そのような企業様に対し、北海道・札幌市を中心に、理学療法士としての臨床経験を生かした健康経営と職場環境改善を支援しています。

実際の仕事や職場環境を確認しながら、無理なく始められる改善方法を一緒に考えます。

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